98年9月13日 日曜日 曇り
Schienenbusを訪ねて
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 ホテルを6:30に出る。さすがに朝食は間に合わないとのことなので、ICEの車内で取ることにしました。6:42発のICE995 Rheingenに乗車。しばらく在来線の風景を眺めます。7時を回ったマンハイムを出ると朝食を取りに食堂車へ向かいます。他にお客はおらず、従業員が朝食を取っていました。
 朝食メニューのオレンジジュースにパンとコーヒーにスクランブルエッグと生野菜のセット(17.80DM)を注文すると、いつの間にか高速新線を疾走していて、丘陵地をいくつかのトンネルを抜けて行きます。食事が終わり、コーヒーを飲んでいるともうシュトットガルトに到着のアナウンスが入り減速を始めました。チェックをして8:08に到着。
 今日の目的は、当時走っていた「Schienenbus」という赤いレールバスに乗ることなのです。事前に偶然見つけたこのSchienenbusという赤いレールバスのホームページからシュトットガルト近郊のテュービンゲンという町の機関区を基地に細々と活躍していることがわかりました。
 曜日によって運用線区が違っていて、今日は日曜日なので、シュトットガルト〜テュービンゲン間のMetzgnからBud Urach までの支線に走っていることを調べてあります。運転線区と運転日に時刻を入手しているので、そこに行けば会えるはずです。実に便利な時代になりました。インターネットで海外の情報が、自宅で手に取るように分かるのですから。去年は情報が無かったばかりに乗ることが出来ませんでした。
ステンレス客車列車 ホルプにて
 シュトットガルトから直接Metzgnまで行けるのですが、往復ではつまらないので、去年このレールバスと出会ったホルプを回って行くことにしました。ホームで撮影をしてから8:31発のRE6505に乗車。中央に寄った扉が特徴のステンレス客車に乗車しました。シュトットガルトを出るとひたすら左へカーブして、谷の右側斜面の森の中を右に左にカーブを繰り返しながら疾走します。ネッカー川の谷に降りると去年も来た谷間の小駅ホルプに9:21に到着しました。
ロッテンブルクにて交換
 去年赤いレールバスが停まっていたホームには628・928系の2両編成のディーゼルカーが停まっていました。9:36にRB16024は発車。なんとワンマン運転です。途中のRotten-Burgで列車交換をしてテュービンゲンに10:11に到着。10:37発の2階建て客車のシュトットガルト行きに乗り換えます。なぜか日本人の家族連れが乗っていました。発車直後に機関区の側線に無惨な状態で放置されている赤いレールバスを発見したときは、「本当に走っているのだろうか」と考えさせられました。
 Metzgnに10:54に到着するとホームの向かいの支線側には、あの赤いレールバスが3両編成で停まっているではありませんか。よく生きていてくれたと感動の再会です。
 このレールバスは1955年製で両運転台の動力車が796型6両と、トレーラーの996・998型6両だけしかもう籍のある車両はありません。写真を見ていただけると分かるように、南部縦貫鉄道のキハ101型に何か似ているのです。しかし、トイレも付いていて、トレーラーも牽引できるこの車は、150馬力のエンジンを積んでいます。旧西ドイツ時代に閑散線区用に作られたようで、Schienenbusという愛称がついています。
 ホームのない道路側から写真を撮影し、日本からわざわざこのレールバスに乗りに来たと話し掛け、車掌さんに頼み込んでシャッターを押してもらって記念撮影。3両編成ですが、中間車はトレーラーで座席や運転台はは無く、ベビーカーや自転車を載せていました。両端の車両の車内は、通路を挟んで、2−3人掛けの転換クロスシートになっています。背もたれは低く、座席の間隔は狭いです。運転席は開放型で、運転士が来ると運転台のシャッターを開けて、ブレーキ弁を入れると発車準備完了。車掌がホームの信号ボックスを操作して11時14分に発車しました。
 レールバスなのですが、総括制御が可能なようで運転士は一人です。ノッチを右手で回す度に左手のレバーを引いています。これがクラッチなのでしょうか。乗り心地は、2軸車ですからよく揺れます。でも軌道状態は良いのでそれほどでもありません。乗客は意外に多く、座席を埋めていて、ほとんどが子供連れの行楽客です。車掌は、切符の発売に忙しいようで、手書きの車内券を次々と発行しています。
 左にカーブして踏切を渡り、しばらくは住宅地の間を進みます。最初の駅Neuhausenを出ると、畑の中の緩やかな勾配を上がって行きます。車掌が検札に来ました。私はユーロパスを見せましたが、手書きの車内券も欲しかったので、記念に欲しいと頼むと快く最低区間の1DMで切ってくれました。もらってびっくり、切符にはレールバスの写真が入った特製だったのです。
レールバスの車内券
 つづいて、少年がポストカードを売りに来ました。3枚ほど協力して買うと、時刻表を付けてくれました。見通しの悪い警報機が無い踏切では、一旦停止して最徐行で通過します。だんだん山が両側に迫ってきました。Dettingenを出ると、鉄橋を渡ります。次の小川に架かる小さい鉄橋では、状態が悪いのか最徐行で通過しました。
 右側にレストランのあるBud Urach Wasserfall に着くと半数の乗客は降りて行きました。レストランのテラスでランチでも取るのでしょうか。うらやましい限りです。 谷が狭くなり、道路が寄ってくると突然レールは尽きて、駅の手前の踏切で一旦停止し、車掌の誘導で線路が一本だけで、ポイントも無く、砂利敷きのホームしかない、終点のBud Urachに11時31分に到着しました。
バッドウーラッチに到着
 最後部の前照灯に赤いレンズをはめ込んで、尾灯にすると、折り返し11時35分に発車です。帰りは、なんと車掌さんが運転台の横の助手席に座るよう勧めてくれました。回りの人にはバツが悪いのですが、せっかくなので座ることにしました。
 改めて前から眺めると、枕木は鉄製です。途中駅のホームが踏切を挟んで前後にあるのがユニークで、それぞれ踏切を越えた方のホームに停車するのです。
 軽やかに下り勾配を降りて行きます。Metzgn に近づくと無線機でどこかへ連絡しました。そして、踏切の手前で一旦停止して、踏切を操作してからMetzgnに11時52分に到着しました。お世話になった運転士さんと車掌さんにお礼を言ってお別れです。
 11:58発の2階建て客車のシュトットガルト行きに乗車。Wend-lingenで支線からの列車の接続待ちをして、Plochingenでウルムからの本線と合流して複々線をシュトットガルトへ向かい、12:38に到着しました。今日は、先日の海外鉄道研究会の例会で旧東ドイツのレールバスが支線で運転されている情報を得た、旧東ドイツ圏のエアフルトの近く、ワイマールヘ乗り継ぎます。幹線で行くと、ICEでいったんフランクフルトへ出て、それからインターシティに乗り換えとなり、かなりの大回りになるので、時間が大して変わらない最短ルートを取ることにしました。
 13:05発ヴュルツブルグ行きのローカル列車に、酢漬けニシンがはさまったサンドイッチとビールを買って、乗り換えます。ニシンが脂がのっていておいしかったのは大収穫でした。ネッカー川沿いに古城街道で有名なハイルブロンを通り、ラウダを経由してロマンティック街道の起点ヴュルツブルグに15:20に到着しました。15:42発の数少ない直通のエアフルト行きに乗るため時刻表の通りにホームに行くと車掌が乗れないと言うのです。「エアフルトは」と聞くとドイツ語でまくしたてるので、訳が分かりません。直感で去年もバンベルクまで乗車した路線の途中のSchweinfurtから分岐するローカル線なのでなので「これは乗り換えになるな」と判断して隣のホームに向かい、駅員に「エアフルトは」と聞くとこれに乗れと言う。ちょうど扉が閉まったところで車掌のいるドアから乗り込んだのですが、これが超満員で足の踏み場もありません。やはり、直通列車が運休になっていて、この列車で途中のSchweinfurtで乗り換えになるようです。乗車した列車は、去年も乗った同じ系統の15:37発のバンベルク経由のホフ行きでした。
 Schweinfurtに16:02に到着すると多数の旅客がホーム向かい側の列車に乗り換えました。全員の乗り換えを確認してから16:07に発車。やっとゆっくり座れたのもつかの間、次の支線が分かれるEbenhausenに16:17に到着すると皆さん降りて行くではありませんか。
 確かに到着前に長い放送が入ったので、おかしいなとは思ったのですが。同室の方に乗り換えるよう言われて降りると、DBの案内の人が出ていて、駅前へ誘導します。そこには、何台ものバスが停まっていました。工事のためバス代行になっていたのでした。これでは直通列車は走れません。
 3台のバスがエアフルト方面だと言われ、3台目の一番古いバスに乗ります。(なぜかって。そんな野暮なことは聞かないで下さい。)16:27に発車しました。駅前のロータリーを出ると線路をくぐり、駅裏の国道へ出ました。対面通行の高速道路のような国道を疾走します。15分くらい走ると国道から外れて駅へ入ります。また国道へ戻るかと思っていたら、線路沿いのセンターラインのない道路を疾走します。そして、次の駅へ。次の街の中は道路が狭く、すれ違いに難渋します。そして、国道に戻って、10分くらい走ると結構大きな町に入り、Bud neustadtに16:58に到着しました。ここでまた列車に乗り換えです。到着の列車を待ってから7分遅れの17:05に発車しました。
Plaueにて支線の列車と接続
 Meiningenへの乗換駅Grimmenthalに到着。それぞれの路線の間に駅舎が建っているのは旧東ドイツ圏の特徴です。乗り換え客の待ち合わせの便を図ったためでしょうか。接続の列車は、旧塗色の2両編成の味のある列車でした。乗り換えたい衝動に駆られながらこのままエアフルトを目指します。
 Suhlを出るとテューリンガー山脈を越えるため、勾配がきつく、山の中へ入って行きます。Ober hofを出ると長いトンネルに入りました。出ると峡谷を下って行きます。Plaueで支線の列車と接続を取って、Arnstadtでザールフェルトからの路線と合流しました。ここから電化されているはずなのですが、架線柱は錆び付き、架線が撤去されていました。
 Neudietendorfで本線と合流してエアフルトに18:48に到着しました。このままイエナ経由のゲラ行きになるようです。このまま乗っていてもワイマールへ行けるのですが、エアフルトをちょっと見てみたいので次のIRに乗ることにしました。ここも、駅舎が真ん中にあって、両側がホームに、前後も行き止まりの切り込みホームになっていました。数枚撮影してから19:00発IR2000に乗車すると、次のワイマールには19:13に到着です。
ワイマールに到着
 さて、今日の宿の確保です。地球の迷い方によると駅前にインターシティホテルがあるとのこと。しかし、値段が高いので駅前に他のホテルがあるでしょうと見回すと、左手にHOTEL THUERINGENがありました。ここにアタックすると朝食にバストイレ付き80DMなので一発でOKでした。
 ホテルに荷物を置いて、支線の到着列車を確認するため駅へ。すると来ました来ました、2両編成のかわいいレールバスが到着しました。念のため支線から来た列車なのか、明日もこの列車を使用するのかを車掌に確認して、もう暗いので明日の朝に乗車することにしました。
 今日の夕食はホテルのレストランで、メニューが読めないので適当に注文すると、フライドポテト添えの卵でくるまれてトマトソースがかかったステーキを食べました。これがまたおいしかったのです。
9月14日へつづく
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