98年9月15日 火曜日 晴 

知らない間にポーランドへ越境・とどめはバス代行

 また、ドレスデンに戻ったのではおもしろくありません。ちょうど、ポーランド方面への幹線の駅であるGorlitz 方面へのローカル列車があったので、それに乗車することにしました。 いかにも社会主義国という感じの売店で、ショーウインドにあった、カツサンドを購入。売店のおばちゃんは愛想が良く、電子レンジを指した。「これは暖めてくれるのか」と思い、「ヤーヤーと」首を縦に振ると電子レンジでチンしてくれた。一緒にビールを頼むと、ショーウインドに並べてあるものを指さし、「どれか」と聞く。すべてロング缶なのにはまいりましたが、見たことのない青い缶を選びました。手に取るとこれから向かうGorlitz の地ビールでした。

 13:42発のRB普通列車は、小型の凸型DLが2両の近郊型客車を引くミニ編成でした。当然1等車はありません。乗客は、学生ばかりです。
 発車すると、ナロー線とチェコ方面へ向かう路線の手前で左へカーブして行きます。単線非電化です。しばらくは畑の真ん中を真っ直ぐ走って行きます。交換駅で、しばらく停車すると同じ編成の列車と交換です。学生はここで降りて行きました。しかし、暑い。カツサンドは、結構スパイスが効いていて、パンもおいしく、ビールもうまかったです。
 そのうち、小川が寄り添ってきて、川を渡りました。しかし、この川の岸には、一定の間隔で、白と赤のゼブラ塗装の標柱が立っています。そのうち、ちょっとした渓谷を走ります。川風が涼しいです。
 渓谷を抜けると久しぶりに駅に停車しました。しかし、この駅何かが変です。駅前に架かっている橋に2カ国の国旗がはためいているのです。駅舎には、駅員の他に兵士も見られます。そうです。この小川がドイツとポーランドの国境になっていて、線路はポーランド側に引いてあり、駅もポーランド領内にあるのです。したがってこの駅に降りれば、自然にポーランドに入国することになります。そして、駅前の川を渡れば、再びドイツに入国です。しかしこの駅は、ドイツ鉄道の駅なのでしょうか。
 発車してしばらく行くと、草原の真ん中に分岐する信号所がありました。右手に分岐して行くのがポーランド方面への路線なのでしょう。旅客列車は走っているのだろうか気になりました。
 その後に小川を渡って、ドイツ領内へ戻ります。次に停まった駅の回りには、巨大な施設があります。しかし、全く使われている様子はなく、廃墟そのものです。構内は、電化していた名残があり、所々に切れかかった架線が張ってありました。しかし、本線以外は、レールが赤くさび付いていて、使われている様子はありません。いったい何の施設だったのでしょうか。その後左手の車窓には、地面に巨大な穴が開いているのです。何かの露天掘りの鉱山だったようです。その巨大な穴は、しばらく車窓に続きました。
 アパートが目に付くと町中に入ってきました。そして、14:38にGorlitz に到着しました。
 これからベルリン方面に行きたいのですが、接続の優等列車は、またドレスデン行きです。それでは面白くないので、駅の時刻表によると、トーマスクックに載っていないライプチヒ行きのローカル列車があることが分かりました。経由地を見ると、なぜか大回りをして行きます。これならどこかで乗り換えれば大丈夫だろうと、駅のスタンドでコーヒーを買って半室荷物車の一等コンパートメントに乗り込みました。隣のコンパートメントは、ご帰宅の職員さんでいっぱいです。

 15:16発のRE準急はGorlitzの街を抜けると、広大な畑の中をCOTTBUS方面に向けて走ります。Horkaの手前で、真っ直ぐ築堤へ登って行く線路から分かれ、左の短絡線へ曲がりました。曲がった方は、築堤の方から来た線路と合流します。そして、Niesky Niskaへ停まりました。それぞれ分岐した線と合流した線は、立体交差で直交しているのですが、くぐる方は、その後終端になります。ここにHorkaの駅でもあるのでしょうか。その先は、ポーランド国境です。
 この駅を出ると、森の中をひたすら真っ直ぐ疾走します。川を渡るところに町があり、Uhystに停まりました。そして、突然森の中の両側から線路が合流し、駅の回りに森しかないKnappen-rodeに停まりました。驚いたことにビジネスマン風の人が乗り換えなのか1人降り立ちました。接続の列車はあるのでしょうか。ここから架線が現れました。電化されています。

 比較的大きい町のHoyers-werdaに到着すると、この先が電化区間なので、ELに交換します。そのためしばらく停車しました。
車窓に雨粒が付くようになりました。Ruhlandで右からの路線と合流し、左へ分岐して行きます。ベルリンへの本線と直交しますが、駅がありません。その路線からの連絡線と合流すると、E-Biehlaに停車しました。本線の駅に向かう連絡列車などは、影も形もありません。それよりここも駅だけで、回りに何もありません。
 次の駅は、3路線も交差するFalkenbergに停まります。駅の手前で、右へ急カーブを切って単線の連絡線に入り、場内信号で止められてしまいました。本線の列車を通してから今度は左に急カーブを切って、さっき走っていた路線と直交する築堤上のホームに6分遅れの17:39に着きました。
 ここも少しの民家がありますが、見事に何もないところで、路線の交差点に駅を作っただけのようです。しかも、築堤上のホームには屋根はなく、交差点の鉄橋の袂の階段を下りると下のホームでした。希望のベルリン方面のローカル線の時刻表を探すと、2時間間隔の列車のちょうど真ん中でした。なにせ、トーマスクックの時刻表に載っていない路線なので致し方ありません。売店も窓口もすでに営業を終了していて、閉まっています。どうしよう。
 仕方なく、ベルリンに近い方へ行くIR地域間急行列車があったので、屋根のない雨の中このホームで待つのもしゃくなので、それに乗ることにしました。
 しかし、本当に来るのか不安になり、ホームの信号所に確認すると、「確かに来るからここで待て」とのことでした。定時に列車はやってきましたから一安心です。ホントに心細い駅でした。
 18:11発COTTBUS経由ポーランド国境に近いFrankfurt(Oder)行きのIR地域間急行に乗車します。お馴染みの青色の客車で編成されています。1等のコンパートメントにおさまりました。しかし、ローカル急行なので、乗車率は惨憺たるものです。ビストロカフェがあるらしいので、行こうとすると車掌室に飲み物が、そうです。車掌が車掌室で、飲み物とつまみにサンドイッチを販売していました。ローカル急行なので、仕方ありません。
 さっき駅の無かったベルリンへの本線と交差するDoberlug-Kirchhainに停まりました。ここも、本線と直交する部分にそれぞれホームがあって、連絡通路でつながっているだけの駅でした。接続のベルリン行きがあるのにもかかわらず、なぜかここで乗り換えなかったのです。どうやら治安の悪いベルリンは避けたいという頭があったようです。
 これまたベルリン方面にの接続のあったCalauでも乗り換えません。列車はCOTTBUSへ到着しました。半分戻って来たような感じです。しかし、Gorlitzから真っ直ぐ乗り継いでくると接続が悪く、この列車の後になってしまうのです。
 闇の中を列車は疾走します。ポーランドの国境駅であるFrankfurt(Oder)に20:15に到着しました。向こうのホームには、ポーランドへの国際連絡列車が2両の編成で停まっています。脇には兵士の姿もありました。
 ここからまた国境沿いのローカル線で、ベルリンをパスしてEberswaldeへ向かい、そこで泊まることにしました。そうすれば、朝早くベルリンを出る必要がないからです。これから行っても夜遅く、治安が悪そうと判断したからです。ましてやホテルの予約も取っていませんし、ホテル代も高いだろうとの判断でした。
 20分ほどの乗り換え時間の間に今夜の夕食を手配します。駅構内に日本でもお馴染みの「バーガーキング」が入っており、早速ドリンクポテト付きのバリューセットを頼みました。そして、発車ホームへ上がると列車はおろかお客がいません。「あれれ、どうしたんだろう」と発車案内表示装置を見ると赤表示で何か書いてあります。「これは変だ」と通路の時刻表を見ると隅っこに赤い紙が貼ってあります。そして、乗車予定の列車番号と発車時刻に行き先が・・・。
 急いで、インフォメイションのお姉さんに行き先を告げると急に顔色を変えて「Eberswalde Bus」と言って、私の手を引っ張って駅前広場へ連れ出し、ガード下に停まっている一台のオンボロバスを指さしました。「急げ」とのこと。これが最終ですから乗り遅れたら大変です。
 発車間際に一人の青年が飛び乗りました。「切符を持ってないがよいか」とのこと。運転手は「まあいいから乗りな」と言って乗せたようです。駅へ切符を買いに行かせて乗り遅れたら最終だから大変だからですかね。元々運転士は、代行バスなので運賃の収受はしません。
 定刻の20:35に発車。街を抜けると真っ暗な1車線の並木のある国道をかなりのスピードで突っ走ります。ライトは上向きにしていないと前が見えません。その中で、ハンバーガーをかじり、コーラを飲んでポテトを食べます。
 町中へ入り、交差点を右折して、町外れのSeelowの駅に寄りました。また右折した交差点まで戻り、国道へ。
 しばらく走ると、二股を右へ曲がります。ずいぶん走ると築堤をくぐり、踏切を渡りました、2回ほど、ぐるぐると路地を曲がると築堤の単線路線と平面の単線路線の交差する場所に駅のあるWerbigに寄りました。築堤上のホームには電気がついています。どちらかの路線がポーランドへの国際ローカル線です。
 またずいぶん走った道を二股まで戻ります。手前で右へ曲がって少し短絡しましたが。そして、また国道を疾走します。
 もう一駅、枝道へそれて寄り、また国道へ。また、国道から枝道を入ると、畑の中に踏切がありました。そして、警報機が鳴りだし、止められたのです。左からゆっくり、2両編成のDCがやってきて、踏切脇の駅へ停まりました。バスも、駅前に着けて乗り換えとのこと。到着した時刻は、21:53でした。1時間20分ほどの代行バスの旅は終了です。
 この小駅は、Neutrebbinと言います。折り返し準備を終えて、駅の電気が消えると22:03に発車しました。途中闇の中列車は進み、何駅か停車してEberswaldeに到着したのは、41分遅れの22:55でした。心も体もくたくたですが、今夜の宿を確保しなければなりません。 駅前は、ご多分に漏れず町外れで、市電が1系統発着しています。しかし、ありました、駅前にホテルが。白の鉄筋コンクリート作りのP&P HOTEL Eberswaldeです。
 ドアを開けようとすると鍵が掛かっています。電気はついていて、人の気配はするのですが・・・。あれ、ドアに張り紙があり、矢印が付いています。その先には呼び鈴が。押してみるとフロントの人が出てきました。防犯上閉めているようです。
 早速「今日部屋はありますか」と聞くと、「あります。シャワートイレ朝食付きで、75DMです。」と言うのです。いやぁこんな夜遅く着いていやな顔ひとつせずに良心的な値段を提示してくれるなんてなんて親切なんでしょう。迷わずここに決めました。しかし最後に「今日は外出しないで下さいね。」と言われました。もうくたくたなので、シャワーを浴びて寝るだけです。明日の朝も早いことを告げるが、朝食もOKだというのです。信じられません。
 部屋にはいると、標準的なビジネスホテルの作りで、とても綺麗でした。ここもサービスのミネラルウオーターのビンが置いてありました。明日はまた早いのでお休みなさい。 

*後半は写真がありません。すいません。

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