98年9月16日 水曜日 雨のち晴
リューゲン鉄道とモリー鉄道へ 〜ナローSLを訪ねて〜



 今日は、リューゲンと出来ればモリーまで乗りたいのですが。どうなるでしょうか。
 6時に起床し、6:30にレストランへ降りるとすでに先客が朝食を食べていました。コーヒーだけを持ってきてくれて、あとは自分でパンやハムなどをとって食べます。
 Eberswalde7:10発ベルリンから来た電気機関車牽引の早起きIR地域間急行に乗車します。ホームの発車案内が、手動式の案内板なのが珍しいです。
 1等の空いていたコンパートメントにおさまります。運河を渡ると内陸部へ向かう単線非電化のローカル線が左に分かれて行きます。すれ違った列車からどうやらレールバスが運用されているようです。
 Angerrmundeでポーランド方面の路線を左に分けると、畑と湿地帯の中を一直線に進んで行きます。左手には、ちょっとした沼があったりします。結構低い丘陵が続いていて牧歌的な風景です。
 Prenzlauを出ると左に急曲線で単線の非電化線が分かれて行きます。街はすぐ尽きてすぐに前と同じ風景が広がります。Pasewalkが近づくと、左手からポーランドからの国際ローカル線が合流します。Pasewalkを発車するとすぐ、左手に内陸を縦断する非電化単線を分けます。次の駅Jatznickを通過すると右手にUecker川の河口へ向かう非電化単線が森の中へ分かれて行きます。こちらは先ほどと同じ風景の中ひたすら一直線に疾走します。
 ビストロカフェへ行こうと思い席を立つと、車掌のいるコンパートメントで飲み物を売っています。こりゃまた車内販売だけでした。コーヒーをもらうと、古めかしいポットから紙カップになみなみ注いでくれたのですが、インスタントコーヒーの味がしました。残念。
 Anklamに停まるとPeene川を渡ります。そして、Zussowに停車します。ここからUsedom島へ渡る連絡船に接続する支線が分かれています。スーツケースを持った家族連れが多数降りて隣の切り込みホームに停まっているEL牽引のペンデルツークに乗り換えていました。
 右から非電化単線が合流するとGreifswaldに到着します。この路線にもレールバスが運用されているようです。

 左から電化単線が合流するとStralsundのロストック方面の通り抜けホームに9:25に到着しました。この列車は、この先、Barthという、電化単線支線の終点まで直通して行きます。
 次のリューゲン島方面の列車は、1時間間隔のRB普通列車です。しばらく時間があるので街をブラブラします。しかし、寒いのでビールを一杯という気分にはなりません。

 行き止まりホームに10:07発のSassnitz行きのRB普通列車が入線したので車内で待つことにします。食パンを切ったような切り妻の客車運転台を持つEL牽引の2階建てペンデルツークでした。1等車は、先頭の2階の半室です。
 発車すると左へカーブを切って、港湾地区へ乗り入れて行きます。一つ目の駅に停車して単線になると長い鉄橋を渡ります。これがリューゲン島との海峡を渡る鉄橋です。どうやら途中が開閉式の橋になっているようです。橋を渡り終えると、駅があり、複線に戻ります。島の中は、以外と平坦で、畑の中を右に左にカーブしながら進みます。右から非電化単線が合流すると10:36にBergen anf Rugenに到着しました。
 右手の切り込みホームにお馴染みの2両編成のDCが停まっていました。グループのおばちゃん連中やバックパッカーが乗り換えます。2等車の座席は埋まっていて、半室の1等室にも、グループのおばちゃん連中が乗ってきました。
 10:39に発車。丘陵地の谷間を下ってゆき、林に入りました。それを抜けると左手からナローゲージの線路が近づいてきます。Stralsund方面に行っていたナロー線の廃線跡の築堤のガードをくぐるとPutbusに10:49に到着しました。

 立派な駅舎があるのですが、なんと無人駅でした。列車は一つ先の終点Lauterbachまでゆきます。結果論ですが、次のSL列車の発車までに終点まで往復できたのでした。なにせ、この路線は、一閉塞で、交換駅もなく、1本の列車が1時間おきに行ったり来たりしているだけだからです。
 駅舎から駅前へ出ずにホームのBergen anf Rugen寄りの構内踏切を渡った向こうがPutbus LB (ローカルバーンの略)駅の機関庫とヤードが広がっています。なお、構内踏切には、警報機はなく、Putbus LBの駅員が出てきて、手動式の遮断機を開閉させます。踏切を渡ったところにある小さな小屋みたいのが駅舎であり、切符売り場です。記念品も売っています。私は襟に付けるバッチを買いました。ついでに切符を求めると往復24DMでした。約2000円です。しかし、ここで往復切符を買ったのは失敗でした。
 11時を回ると、11:24発のSL列車の準備が始まりました。車庫から緑色の側面に52号というプレートを付けたD型小型タンク機が11両もの客車を引っ張って出てきました。なぜか前面に車号のプレートがないのです。そして、他のナローSL線のカマと少し違い、細身です。緑に塗られているというのも変ですよね。しかし、据え付けられると前の2両の古典客車が切り離され、側線へ。しかし、冷たい雨が降っています。

 さて、緑色の側面に52号というプレートを付けたD型小型タンク機が後ろ向きで、緑色のナロー標準鋼製客車7両、車掌車1両、最後尾には自転車搭載車1両の9両を牽引した編成です。車内は、家族連れなど観光客で程々の乗りです。しかし、なぜか暖房が入っていません。この雨の中大変寒い車内です。そして、窓が曇ってしまうので持参のポケットティッシュで窓を磨きます。
 定刻に発車しました。しばらくは、低い丘が連なる畑や牧草地の中を進んで行きます。結構右に左にカーブが多くあります。
 さて、この先の行程なのですが、この列車で終点のGohrenまで行って折り返し、Putbusへ戻ってきても接続が悪く、この先も、Stralsund での接続が最悪で、その日のうちにモリーへ乗車するのが困難なのです。
 しかし、途中のBinz LB駅と、DBのBinz駅との間が2.5qとトーマスクックに書いてあるではないですか、そうすれば、DBのBinz 14:09発のロストックへ直通のIR地域間急行に乗れるのです。しかし、この列車で終点のGohrenまで行って折り返し、Binz LB駅に着くのが13:54です。接続のバスでもあれば間に合うのですが、タクシーを利用しても仕方ないと考えました。しかしタクシーいるのかなぁ?

 Binz LBに11:51に到着です。10分停車で、対向列車と交換です。交換の列車は、ちゃんと前面に99−4802というプレートを付けた黒色のSLでした。Putbus行きが正面を向いています。半数のお客が降りましたが、それと同数の観光客が観光バスから乗り換えてきました。
 にぎやかな観光客だこと。中年の夫婦連れがほとんどです。いったん山の中を走ります。しばらくすると海辺へ出ました。少しですが、Sellin付近では海岸を走る区間もあります。この辺りは海辺のリゾート地のようです。重厚なホテルが何軒も見えます。森の中に戻り、ほとんど砂州の森になっている平坦な半島を横断して12:43に背の高い木が立つ終点のGohren に着きました。立派な駅舎があるようですが、無人駅のようでした。この林の向こう側は、海になっています。そして、天候も回復し、晴れてきました。

 すぐに機関車は切り離され、側線をまわって機回しをします。しかし、途中で停まり、火床整理と給水を始めました。観光客のギャラリーが多数いて、記念撮影に忙しそうです。
 一通り、写真を写してふと後ろの道路を見るとHの丸い標識のポールが道端に立っています。ふと、時刻表をのぞくとSassnitz方面のバスです。そこの時刻表には、主要停車駅の時刻表が張ってあり、Binz LBの他にDBのBinz駅も書いてあるのです。そして、結構本数があり、次の発車時間は、13:02です。まもなくやってくるではありませんか。そして、DBのBinz駅に13:45に着くではありませんか。これで、14:09発のロストックへ直通のIR地域間急行に乗れるのです。問題なく迷わず行程を変更して、往復切符の帰りの分は寄付する事にしました。
 時間通りに白い大型観光バスが到着しました。ここからの乗車は私一人です。「DBのBinz駅」といって、5.40DMを払うと、レシートのような切符をくれました。
 線路と平行する道路を進みます。海辺のSellin付近では、町中をぐるっと回り、お客を拾います。乗客は、学生とお年寄りで、結構乗り降りがあります。線路が山側へ消えると海辺をそのまま進みます。右Binz の道路標識のある信号のない交差点を直進しました。「あれれ、どこへゆくの」と思っていると右手からナロー線が近づいてきました。草原の中の踏切のたもとにホームがあり、バスの転回所がありました。そこにバスは入り、停車したのです。
 すぐに運転士が無線を取り、呼びかけますが応答はなし。運転士はバスを降りてタバコを吸っています。その最中に無線が鳴りました、しかし、運転手は外です。
 駅とバス停の名前は、Seramsといいます。Binz LBの一つPutbus寄りの駅です。そうするとですよ、Binz LBで交換するPutbusから来る列車を先に撮影して、予定の折り返し列車が追いかけてくるのを撮影できるではありませんか。回りは、開けている草原です。しかし、この後の行程がつまっているので、ここも涙をのんでバスに乗り続けます。
接続予定だっただろうバスが来ないまま、発車です。さっきの交差点まで戻って、Binz方面に左折しました。無線が入ったのですが、幸い接続のお客はいなかったようです。運転手は笑っていました。
 Binz LB駅前に寄り、Binz の街へ入ってゆきます。タウンセンターでお客を入れ替えて、これも町外れのDBのBinz駅前に13:45に到着しました。観光地らしく、待合室が広いこじんまりとした駅で、切符売り場と売店があるだけです。

 2面4線のホームには、すでに14:09発のロストックへ直通するハンブルグ行きのIR地域間急行が停まっています。しかし、向こうのホームに今朝、バーゼルからやってきた寝台付きの夜行急行が今夜の発車まで休んでいるのです。青色の寝台車が気になりました。
 定刻に発車しました。しばらく、林の中の電化単線をゆっくり進みます。右手の林の向こう側は海が広がっているはずです。途中のProraで、ELが2階建て客車を数両牽く、RB普通列車のペンデルツークと交換しました。
 久しぶりに半室ビストロカフェ付きの一等車が連結されていたので、ロストックからの指定が入っている席に座ってビストロカフェからビールと焼きソーセージにポテトサラダ添えをオーダーして今日の昼食としました。いつの間にか左手に広い入り江が広がっています。
 Sassnitz方面からの路線と合流するとLietzowを通過します。ここから複線で、入江を堤防で渡ります。両側が水面なので、水の上を走っているようです。中程が鉄橋になっいて、ここで入江はつながっているようです。
 さっきDCに乗り換えたBergen anf Rugenに停まり、再び海峡を渡ってStralsundへ戻りました。列車はそのまま単線電化の路線をロストックへ向かいます。なお、駅や車内のポスターやパンフレットにStralsund〜ロストックの間が線路工事で運休バス代行になると宣伝していました。まさかこの先でバス代行に振り回されるとは知らずに・・・。
 Velgastに停車し、Barth方面の路線を分岐します。広大な畑が広がる平野を進みます。すでに所々で工事が始まっていて、線路脇が掘り返されています。ところどころ徐行運転も行いました。のどが渇いたので、ビストロカフェからコーヒーを持ち込みます。
Recknilz川を渡って、Ribnitz-Damgarten Westに停車。Rovershagenで、海岸線からの支線を合流し、Warnow川を渡るとRostockに線路工事の影響から、3分延の16:00に到着です。
 さて、Bad Doberan方面のWismar行きは、16:03の発車で、時間がありません。この列車に乗れば、今日中に“モリー”に往復列車で乗れるのです。ホームの案内係に聞くと、『地下道へ下って右へ進め』と言っているらしい・・・。隣のはずれのホームへ向かうとDL牽引の客車列車が止まっていました。念のため車掌に聞くと、「ナイン」を繰り返すだけ・・・。
 これは困りました。Bad Doberan方面のWismar行きは、どこから出るのだろう・・・。駅の時刻表を見ると『あーっ』そうです。右隅に注意書きの紙が付いていました。毎度お馴染みの『代行バス』でした。
 時すでに遅し、ホームの案内係に聞いた、『地下道へ下って右へ進め』は「駅裏の広場へ出ろ」という意味だったわけです。
 正面口と反対の裏側の出口にはパークアンドライド用の駐車場が広がっていて、中程のロータリーにバスのポールが立っています。ポールにくくりつけてある時刻表には、30分おきの時刻が記されていました。列車だと1時間おきのはずなのですが、運びきれないのかな。
 そのうちたくさんの乗客が集まってきました。しかし、来たのは1台の一般路線用大型バスでした。DBの係員が1人添乗しています。しかし、検札はありません。というか、満員でできないのが理由です。
 自然と少ない座席はお年寄りが座ります。どんな怖そうな若者でも、寝たふりをする人は見あたりません。もちろん私も吊革につかまりました。
 時刻表通り、16:32に発車しました。しばらくは、市街地を走ります。市電のループ線や単線の専用軌道を眺めながら進みます。
 市街地が尽きて左折すると単線非電化のレールが近づいて平行しました。よく見ると、バラストは白く、コンクリート枕木とレールは新品です。
 途中の交換設備のある駅で停車。信号の工事をしていて最後の仕上げに入っているようです。主要道を右折して地方道へ。しばらく走ると踏切のたもとにホームのある無人駅が見えてきました。しかし、踏切上には重機がレールの付いた枕木を引っ張っています。これでは踏切を通過できません。しかし、しばらく作業が終了するまでひたすら待ちました。作業の合間に通してくれましたが、とてものんびりしていて日本では考えられません。
 国道へ出て左折するとBad Doberanの市街地へ入ります。SLが顔を出す、あの有名な商店街の入口で左折すると、左側のナローのレールと併走してBad Doberan駅前に17:12に到着しました。
 当然ですが、ホームには列車はおらず、閑散としています。DBの駅舎の中にあるDBの切符売り場の隣の“モリー”の切符売り場はすでに閉まっていました。
 構内の車庫にはSLの姿がありません。この路線もバス代行では無いだろうかとふと思いました。
 到着する列車を撮ろうと、あの商店街の入口へ行きます。あの商店街とは、狭い商店街の中を併用軌道が敷いてあり、なんとそこをSL列車が走るのです。

 国道の踏切が鳴り始めました。そこへ、商店街からSL列車が顔を出しました。いったん入口で停車。なぜかというと、ホームこそありませんがそこが停留所なのです。99 2323-6号機が7両の近代的なスチール製、クリームと赤のツートンカラーの客車を牽引して目の前を通過しました。
 急いで駅へ戻ると、すでに機関車の機回しが行われていました。発車時間も近いので車内で待つと定刻になっても発車の気配がありません。どうも接続の代行バスの遅れを待っているようです。6分遅れの17:42に発車しました。

 国道を渡ると商店街の入口の Stadtmitteに停車。その後は鐘を鳴らしながらゆっくりと商店街の石畳の併用軌道を走ります。商店街を抜けると住宅街で、少し道幅が広がります。
 これも道路上のGoethestraBeに停まり、市街地の外れで並木道の地方道にぶつかると、併用軌道は終わり左折しました。この間に検札があり、写真入りの切り取り式の車内乗車券を買いました。車掌さんに「往復か?」と聞かれましたが、終点のKuhlungsborn,Westにホテルがあればそこに泊まることにしたので片道にしておきます。9DMでした。
 並木道の地方道に沿って、畑の中の昇り勾配を全速力で疾走します。平行道路の車を抜いたのにはたまげました。こんなスピードを出せることに感心です。そして、思ったより揺れません。

 対向列車と交換待ちをするはずのHeiligendammには、すでに対向列車が待っていました。すぐに発車し、全速力で疾走します。車掌が客車から機関士へ大声で何か伝えています。そうすると、停車するはずのSteilkuste-Wittenbeckは通過しました。
 Kuhlungsbornの街に入ると、立派な駅舎のあるKuhlungsborn,Ostに停車しました。ここが街の中心のようです。発車するとすぐ道路が寄ってきて、道路端の併用軌道になります。
 申し訳程度の待合い小屋があるKuhlungsborn,Mitte停留所に停まると、右にカーブして街から外れて行きます。
 人家が少なくなり海の方に左へカーブすると、煉瓦作りの立派な駅舎と機関庫のあるポプラの並木に囲まれた終点のKuhlungsborn,Westに18:21に到着です。いつの間にか定刻に戻っていました。すでに駅舎やミュージアムカフェは閉まっていて、駅舎横の出口より出ました。

 さて、ホテル探しです。ここはリゾートらしく、ホテルの地図に直通電話が付いた立派な案内板が立っています。とりあえず、駅前にある『ホテルスカンジナビア』に飛び込んでみることにしました。
 フロントのお姉さんは英語を話し、朝食付きで75DMという。そして食堂を通り抜けて部屋に案内し、これでよいかと確認をする。シャワー・トイレ付きのとても広いツインルームで、窓からはレールも見えて文句なしです。もちろんOKの返事をしました。
 とりあえず食事です。下に降りて、フロントのお姉さんに「夕食が取れるところがありませんか」と訪ねると、オーナーらしきおばあさんの所へ行きました。そうすると、さっき通った食堂に案内してくれました。そして、シェフと相談して、「これでよければ食事をどうぞ」と言ってくれたのです。そこでは、今夜泊まっている老夫婦の団体が、バイキング形式の夕食を取っていました。もう食事は終わりに近く、残っているモノをいただけそうです。
 とりあえずビールを注文し、鱒の揚げたモノや、ジャーマンポテトなどをいただきました。お会計をお願いすると「結構です」とのこと。部屋に帰るとシャワーを浴びて明日の行程を練ります。この時点で計画はめちゃくちゃになっています。明日はハルツへ行けるかなぁ・・・。

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