98年9月17日 木曜日 晴れ
予定してなかったハルツ狭軌鉄道へ

 6:44の一番列車では朝食も間に合わないし、今回の目的の一つであるSLグッツの購入も出来ません。仕方なく、8:35の二番列車にすることにしました。
 7:30に食堂に降りるとすでに皆さんは朝食が終わっていました。年寄りは朝が早い。
 8時にチェックアウトすると、フロントは男性に変わっていました。宿泊料金を精算すると94.50DMになっていました。ビールと夕食代を考えると妥当な金額なので、サインしました。
 駅に向かうと、すでに機関車が連結されていて、点検を受けています。そして、駅舎内の切符売り場へ向かうと、ショーケースにいろいろとグッツが展示されていました。その中から、ネクタイと色づかいがきれいなTシャツを買いました。カードは使えず現金払いです。

 スチームの蒸気に包まれた列車は5分遅れの8:40に発車して、昨日の道のりを戻って行きます。
 対向列車と交換待ちをするはずのHeiligendammに着くと、やはり対向列車が着いていません。遅れて発車したのは時間調整だったわけです。到着を待って、おばさん駅長の信号棒の合図で発車しました。
 併用軌道区間へ入ると鐘を鳴らしてゆっくり走ります。商店街を通り、Bad Doberanに4分遅れの9:22に到着しました。

 代行バスなのは、Bad Doberanまでで、ここからは列車で運行されています。向かいのホームに待っていたのは9:28発Wismar行きの628・928系の2両編成のディーゼルカーでした。
 列車は、丘陵地帯の畑の中を縫うように走ります。駅に停まると人気もなく、とても静かなところです。そしていつの間にか、こじんまりとした港の小駅Wismarの駅舎の前に10:27に到着しました。
 乗り換えの合間に駅前へ出てみましたが、商店も見あたりません。接続の10:35発のSchwerin Hbf行きSE準急は、駅舎の横の行き止まり切り欠きホームにELが赤い2階建て客車を3両つなげて停まっていました。
 ここからは単線電化されていて、ぐいぐい加速して行きます。すぐにベルリンに、ロストック、リューベックにハンブルグなど4方面からのジャンクッションになっている、Bad Kieinenに10:49に到着しました。さて、どちらへ行きましょうか。
 予定では、Lubeckへ行くつもりだったのですが、それではハルツに行けません。「うーん東側に飽きたからハンブルグへ行ってICEに乗ろう。」ということになりました。
 10:49発のLubeck行のIRを見送って、10:55発のHamburg Altona行きIR地域間急行に乗車しました。また例によって、半室ビストロカフェ車のコンパートメントに乗車しました。
 次のSchwerin Hbf からノートパソコンを抱えたビジネスマンが同室になりました。レポートをパソコンに打ち込んでいます。私は、ハンブルグから先の行程を練ります。
 列車は、畑の中をバンバン飛ばします。ビジネスマン氏が仕事が一段落したところへ、車掌が検札へ回ってきました。彼は、何かちらっと写真入りのパスを見せました。そして、車掌の行き先への質問に何か文句を言っています。どうやら、DBの管理職のようです。
 そのうち、トーマスクックを見ながら悩んでいる私に、見るに見かねたのか「どこへ行くのか」と尋ねてきました。「Wernigarode」と言うと、パソコンの何かのソフトを立ち上げて入力してくれました。それには、乗換駅と、乗り換える列車とホームの番線まで、液晶画面に表示されています。そうです。わざわざ、DBの電子時刻表で検索してくれたのでした。
 いつのまにか旧東西国境を越えて、第3軌条式のS-Bahnの路線と併走しはじめました。そのうちビルが多くなってきて、12:18に人混みの中のHamburg Hbfに到着しました。
 調べていただいた予定では、ICEなどには乗らずに行く行程だったのですが、そこは乗らなければ意味がありません。食堂車にも行きたかったのです。
 12:26発ICE77はスイスのチューリッヒ行きでした。大変混雑していたので、はじめから食堂車に乗車です。ビールト、当てずっぽうにおかずを頼むと、ミートローフが出てきました。うーん温かい食べ物がよかったかったなぁ。
 食事をしていると、何か熱い視線が刺さります。ふとその方向を見ると、先ほどのビジネスマン氏がはす向かいのテーブルで手を振っています。ああ、指示に従わずにICEに乗ったのがばれてしまいました。お会計は23.30DMでした。
 丘陵地帯を横断し、Hannoverに13:41到着しました。在来線でしたが、なかなかの走りっぷりでした。
 この先、ICEは高速新線に入ってしまうので、乗換駅に停車する14:04発IR地域間急行に乗車しました。時間を稼いだ分は、構内の観察や、電話掛けたりして有効に使いました。
 本来、Wernigarode方面へは、Magdeburgを経由して入るのですが、ここはあえて最短経路のローカル線乗り継ぎを選択しました。しかし乗り継ぎが悪く、1カ所を失敗すると大変なことになります。
 列車は平野から、川沿いに谷へ分け入って行きます。次の停車駅Kreiensen が近づくと荷物を持ってデッキへ向かいます。トーマスクックによると14:45になっているのですが、到着時刻はそれより早いはずです。その通り、2分前の14:43に到着しました。乗り継ぐ列車は、14:44発です。
 しかし、列車が見あたりません。「行ってしまったか」と思うと、線形の関係でカーブしている真ん中、三角形ホームの方にお馴染みの2両編成のディーゼルカーが停まっています。「これだ」と、地下道をくぐって走ります。しかし、列車に近づくと走り出したのです。そこで大きく手を振りました。すると、列車が止まり、ドアが開いたのです。
 乗り込むとすぐに発車。最後部に車掌はおらず、ワンマン運転のようです。運転士に「ダンケシェー」と声を掛けてから、行き先を確認しました。幸い目的の行き先でしたが、違っていたらと思うとかなり冒険でした。
 谷筋に沿って勾配を上がって行きます。高速新線の高架橋をくぐり、Nordhausenにからの線路と合流するとSeesenです。山裾を巻くように列車は進みます。途中の廃駅でBraunschweig方面の路線と分岐すると原野から民家が増えて久しぶりの街に入ってきて、Goslarに到着します。
 腕木式の出発信号機が動くと発車です。街を抜けると荒涼とした風景で、工場が目に付きます。やたら側線が多く、貨車が多く目に付きます。それもそのはずで、この辺は昔から鉱山で栄えたところなのです。

 Okerで、これから向かうVienenburgへの短絡線を分けます、しかしこの列車はBad Harzburgの街へ寄って行きます。再び人家が多くなってくると左から線路が合流して、行き止まりのBad Harzburg に到着しました。
 折り返しの時間があったので、ホームに降りると若いお母さんが大きなベビーカーを低いホームから列車に乗せようとしていたので、ワンマンの運転手と一緒に持ち上げるのを手伝います。こちらでは、誰からともなく手伝うのが当たり前のようです。これなら低いホームでも問題ありません。日本も見習って欲しいですね。
 ここで、スイッチバックをしてVienenburg へ向かいます。15:55着。この列車は、Braunschweigへ向かってしまうので、ここでWernigarode方面へは乗り換えとなります。

 駅舎は、図書館になっていて、駅前に静態保存の蒸気機関車がありました。16:12発のHalberstadt行きは、またもやお馴染みの2両編成のディーゼルカーが待っていました。
 この先、Wernigarode との間は、旧東西ドイツの国境だったところなのですが、そんな感じは全くありませんでした。そして16:41 に到着しました。
 ハルツ狭軌鉄道の駅は、いったん駅を出て右側にあります。すでに終列車は出た後なので、駅舎は閉まっていました。DBの駅舎にある土産物屋を冷やかして、ハルツのSLが書いてある布のバックを買いました。
 さて、今夜の宿を探します。見事に駅前には何もなく、中心部へはちょっと歩かなければなりません。途中に安宿らしい物があったのですが、営業の気配がありません。もう少し歩くと、バー併設の宿があり、アタックしてみると80DMで、値段が高い割に設備がいまいちです。
 試しに近くの「TREFF HOTEL Wernigarode Harz」というチェーン店のリゾートホテルへ聞いてみると140DMという。この設備でこの値段は安いので最後の夜くらい良いだろうとここにしました。
 チェックインの後に町中を散策しましたが、すでに町中の商店は閉まっていて、偶然来たブロッケンから降りてきたSL列車に感動しました。
 その日の夜は、適当なレストランが無かったので、ホテルのレストランで、子牛のカツレツを食べました。ワインと共に24.50DMでした。
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